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ハイリターン症候群

タイトルのとおりの病状の方がかなりおられます。
自分は、安定的な運用が望みといいつつ、なぜか、話が出るのはエマージング株式。
この病はかなり例が多く広範囲に蔓延しているので、今回は単独の症例ではなく、その特長について話してみたいと思います。


投資相談とリスク許容度

投資相談に入るとき、最初に、投資金額や、投資目的、希望する運用利回りとリスク許容度についてお聞きしています。
運用金額については、数万ドルから数百万ドルと非常に広く分布していますが、運用利回りとリスク許容度については、10〜15%近辺でミドルリスクというお答えが一番多いです。
ファンド投資の性質上、運用期間は10年以上と中長期のお客様が多くなるのですが、これは、短期運用や、生活資金を投資するなどという無謀なご依頼はその時点でお断りしているので、自動的に中長期投資の方のみとなります。
もちろん、5年後に家を建て替えるがそれまでの間運用したいというご相談もありますが、割と少ないです。

投資相談を進めるにあたっては、イメージしている「ゴール」であったり、「目的」をかなえるためにという視点でやり取りをしていきます。
ですから、最初は、ファンドの話ではなく、アセットアロケーション(資産配分)をどうするかというところから入っていきます。

ほとんどの方は、ここまでは順調に進むのですが、実際に、具体的にポートフォリオを組んでいきましょうとなった際に、目的を見失って迷走するケースが出てきます。
   

さまざまな症例

-銘柄依存症-
アセットアロケーションよりも、「何かいいファンドはないか?」というところにしか目が行かなくなっている状態。
視野狭窄、細かい数字にこだわる、過去成績が1%でも高いファンドがいいと思ってしまいます。

この症状になると、当初の目的である、○○年後にいくらに資産を増やして、、、、などというところが吹っ飛んでしまう場合もあります。
いいファンドを見つけることが儲かる近道と思い込んでしまい、話がすれ違い始めます。

実のところ、この症状は風邪みたいなもので、非常に多いといいますか、程度の差こそあれ、ほとんど皆さんがかかる症状でもあります。
いいファンドを探すという考えは、別に毒になる考えではないのですが、「いいファンド至上主義」となると話が違ってきます。
ハイリターンのエマージングに惹かれてしまい、いつお話しても「南米が、、、、」「中国は、、、、、」となってくると重症です。
もちろん、ハイリスクハイリターンを望むというのならいいのですが、もともとの話は違いますからねえ。

-リスク許容度失調症-
最初のアンケートでお聞きするリスク許容度なんですが、ちょっと面白い傾向があります。

「手堅く安定運用を望む」とお答えになった方の中に、しばしば、後々の行動が違ってしまう方がおられるようなのです。
さて、「手堅く安定運用」という場合のポートフォリオ例ですが、普通は、インカムゲインが期待できるファンドを中心に市場価格が乱高下するようなものは避けるというのが鉄則です。
これらのような「ローリスク」ファンドを組み込みつつ、株式や、ヘッジファンド(マネージドフューチャーズ)などをサブで入れていくようなイメージだと思います。

そういうものばかりの話になってきたときに、「なるほど、手堅い運用という意向に沿ってくれているな」と感じられる方が多いのはもちろんですが、中には、「なんだかつまらない」とお感じになる方がおられるようです。
「つまらない」とお感じの方の場合、しばらくすると、突然、具体的ファンド名を挙げて「これはどんなですか?」という話が来ます。
たいていの場合、ミドルリスクからハイリスクで、もちろん、ローリスクものよりもリターンがいいものです。
だいたい、こういう話が来ると、「ははーん」となるわけです。

この場合、本当は、ミドルリターンミドルリスクが望みなのに、つい、「手堅く」といってしまったという方もいらっしゃいます。
年配の方に多いのですが、なんとなく、リターンを求めるのは「はしたない」という抑制がかかるらしく、うまく、本音を言えなかったというケースです。
最初の設定がまずかっただけですから、もう一度仕切りなおして、初めからきちんと設計しなおせば、ちゃんとしたポートフォリオが組めますから、これはさして問題はないです。
このような、本当のところと申しますか、本音の部分というのは、なかなか推し量れません。
ご本人も途中でお考えが変わることもありますし、、、、、
でも、最終的に納得のいくポートフォリオが構築できればいいわけで、「終わりよければすべて良し」です。


しかし、これにも限度があります。
もうちょっとずれが大きくなってくると、具体的なファンドの話が、エマージングものとか、または、ファンドではなく、国の話になってくる方もいらっしゃいます。
もちろん、「ハイリスクですから、せいぜい全体の5%程度までです。それよりも、足元をきっちりと固めてまいりましょう」と申し上げるんですが、聞く耳持たずという方も、、、、、
こうなってしまうと、リスク許容度失調症が発症した状況。

さらに重症化すると、ポートフォリオの大半がエマージング投資になってしまいます。
特に昨年までの好調期に一発当てて、ドカンと資産が増えてしまうと、その夢が忘れられなくて、ますます先鋭化。
ここまでくると「ハイリターンドランカー」です。
どこかでいいタイミング我に返ればすごいですが、たいていの場合、大怪我をなさいます。
資産運用が、ばくちと化してしまいました。後は祈るのみです(合掌)、、、、、、


-数値依存症-
いろんなファンドのリストから選ぶとき、ファンドの過去のリターンが気になるのは当然です。
同じ資産クラスで同じような戦略のファンドであるならば、リターンのいいほうを選ぶとしても別段間違いではないでしょう。
しかし、多くのファンド群から、カテゴリーを無視して、単純に、数値的に良いもの、相関が低い組み合わせというだけで、選んできてしまうとすれば、、、、、

数値を使った分析は、客観的に評価する尺度として、それ自体はなんら問題ありません。
しかし、過去のデータは将来を保障するものではないこと、たいていのモデルでは、不十分なシミュレーションに過ぎないこと、を考慮すると、あくまでも参考にとどめるべきです。

ところが、数字を追いかけていると、それなりの面白いんです。
「条件次第では、大儲けできるなあ」とか、「それなりのリターンで安定性のいいものは?」となかなか参考になる結果が出てきます。
これにはまっていくと、いつの間にか、 数値そのものが命を持ち始めます。
数値が気になり、アセットアロケーションを行う上ではこちらのほうが分散できるとわかっていても、なんとなく最高の数値を出したくなり、気持ちが落ち着かなくなります。
エマージング銘柄やヘッジファンドをうまく組み合わせて、ハイリターンでそれなりの標準偏差に収まったりすると、これこそが、求めていたミドルリスクハイリターンだと思い込んでしまいます。

そんなにうまい話はありませんョ、、、、、、

治療方針

「時間をかけて内科的治療」
アセットアロケーションの重要性が理解できるまでは、投資実行を止めます。
投資の相談の目的は、ハイリターンファンドの発掘ではなく、投資家のライフプラン実現に向けた最適解の具体化です。
資産を保全し守る部分と、積極的に増やす部分を戦略的に配分し、さらに、何かあったときに共倒れにならないように資産クラスも分散させることが重要です。

この話、「そんなあほな。俺はリスクも理解しているし冷静に考えているよ」という方が大半だろうと思いますが、重症は別として、軽症患者はかなり多いです。
初期だと自覚症状がないところがこの病気の恐ろしさかもしれません。

もちろん、ご自身で銘柄をご指定になり、ポートフォリオを構築なさるのでしたら、自己責任で止めはしませんが、、、、、


夢ばかり追っていませんか?
卵をひとつのかごに盛ろうとしていませんか?
攻めることばかり、得することばかり考えていませんか?

守りを考えずにそのまま投資しちゃうと、大変なことになりますよ。



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