今回は投資における期待値とリスクの話を。
■年15%という世界はどんな世界か?
「投資するからには、リターンは多いに越した事はない」
「年平均15%は欲しいよね」
etc…こんな話をチラホラ聞きます。
はい、ある程度投資経験のある人なら分かるかと思いますが、結論から書くと、、、
「短期間で15%はそこまで難しい話ではないが、5年、10年と長期になるにつれ、絶望的な数字」
という事が分かるかと。
例えば、過去10年という期間で年利10%以上を達成出来た市場はどこ?となると、、辛うじて中国系のみ。
(期間を絞っていけば、ASIANも含まれていく可能性はある)
では、その中国が今後10年間、同じように年利10%で推移していくかどうか?といわれたら、、多くの人は「いや、もう駄目でしょ」と答えるでしょう。
では年15%で回っている市場は存在するか?というと、、、過去10年においては存在しません。
(ま、モロリーマンショックが中途ありましたし)
では、仮に年15%という数字を達成する可能性があるとするならどんな市場か?というと、、、過去のBRICsの「大きな発展前」時に投資で達成と同様、「今はまだ大きく成長していないが、爆発的に発展する新興市場、フロンティアマーケット」に絞って投資、、くらいでしょう。
さて、フロンティアマーケットとはどんな国を指すか?というと、、、
MSCI FrontierMarketの対象国 | |
欧州 | ブルガリア、クロアチア、エストニア、カザフスタン、ルーマニア、スロベニア、ウクライナ、リトアニア、セルビア |
アフリカ | ケニア、モーリシャス、ナイジェリア、チュニジア |
中東 | バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)、レバノン、ヨルダン |
中南米 | アルゼンチン、トリニダードトバゴ |
アジア | スリランカ、ベトナム、パキスタン |
こんな感じの国達ですね。
えぇ、、リスクでいうとハイリスク以上となりますね。
(エマージングがハイリスクという位置づけになるので)
以上を踏まえて、年15%以上狙うポートフォリオとはどのようなものか?を表すと・・・
「年平均15%以上狙いたいから、中東中心のポートフォリオじゃ!」
これが一般的か?というと・・・書くまでもないですよね。
当然、ハイリスクなので元本を大きく下回る可能性も秘めていますし、投資期間中は全く成長しないかもしれません。
この事を承知で投資されるならなんら問題ないですが、、多くの方は「えぇ?そんなリスクあるの??だったらちょっと辞めるわ」となるケースが多いのでは?
■先進国株式インデックスの期待値
「ん~、ローリスクで7%くらい欲しいよね。なるべくリスクは取りたくないし~」
と、このような希望を出される方、案外多いです。
一昔前、それこそ金利が4%とかあった時代ならば債権ものでもこの程度の数字は何とかなりましたが、世界的低金利の時代にこの数字というのは案外むずかしいです。
百聞は一見にしかず、米国株式インデックス、S&P500の成績を見てみますと、、2016年3月の時点で過去10年の平均年利は、、、
とまぁ、こんな感じですね。
間違っても「リーマン後の数年、リバウンドとシェルガスでイケイケだった2014年まで」の成績のみで判断しない事。(リーマン後から2014年までなら年10%以上は余裕で出てはいましたが)
要するに、長期でみた場合、ミドルリスクで年7%弱というのが現状においての期待値といった所でしょうか。
ちなみに、当然ながら「ミドルリスク以下で年7%以上というのはかなり難しい(長期でみた場合)」のはいうまでもありません。
リスク
リスク、よく聞く単語だと思いますが、案外このリスクを理解していない方、多いです。
まず、ミドルリスクがどの程度のリスクになるか?というと、基本「先進国株式インデックス」を指します。
で、先進国債券がローリスク、エマージング株式インデックスがハイリスク、という感じ。
大まかにここをターゲットに、リスクを計る事となります。
エマージング市場でも、スモールキャップ中心ならさらにリスク高くなりますし、1国のみなら当然リスクはあがります。
そうですね、車の運転で例えてもいいかも、です。
・制限速度を守っての運転・・・・ローリスク
・流れに従い運転・・・・・・・・・・・・ミドルリスク
・制限速度を大きく超えて運転・・ハイリスク
目的地に到達するのにスピードを上げれば上げる程、リスクは高まるものである、というのは言うまでもありませんね。
スイッチを多用すれば高リターン?
「いや、市場が好調の時はハイリスク中心に配分して、不調時は債権とかに避難させておくとかすればある程度リスク回避出来るし期待値もあがるのではない?」
このようにおっしゃる方もいます。
理論上はおっしゃるように「最高値付近で売り抜き、最安値で買い直し」が一番効率的。
・・・ある程度長期の間、自身で株式や為替やられた方なら分かると思いますが、「んな夢みたいな事出来たら、誰も苦労せずに大金持ちになってるわ!」が現実です。
プロである投資機関家がファンド運営で巧みにスイッチ多用、どんな状態でも大きくプラス運用、、な~んてファンドが世に出ていない、、これが全てです。
(プロでも実現できていないもの、いち個人にはまず無理)
こういう時事ネタは数年後に意味不明になるので書きにくいですが、、例えば今の時期、ブラジルにドンと投資出来る勇者はどれくらいいるでしょう?
ドイツ銀行株、VW株購入出来る人はどれくらいいるでしょう?
為替にしても、今ドル買いを積極的に出来る人はどれくらいいるでしょう?
かなり難しいですって。
今では1ドル110円超となっていますが、民主政権時代時にドル円はどうなると言われていたか覚えている人、どれくらいいます?
当時は「1ドル100円になるより50円になる可能性のが高い」と、多くの方が言っていたものですぜ。
いずれ120円に戻る、という自身の意見は、、変人扱いされていたくらいですぜ。。
と、話を戻します。
「基本、淡々とポートフォリオを崩す事なく維持する事」
結果的にこれが一番リターンを得るのに適した方法でしょう。
(賛否あるかと思いますが、確率という話ではこうなる)
ちょっと語弊あるかもしれませんので少し付け足します。
「ん?それは、放置しておけ、、という事???」
こう捉える方もいるかもしれません。
が、実際は少々違います。
例を出しますと、株式50%、債権50%という配分だったとします。
(それぞれ100ずつの価値だったとします)
株式が100から50に、債権が100から150になったとします。
そうすると、、割合が債権75%、株式25%となります。
このままだと、当初の割合から大きく乖離してしまいますので、債権を売却、株式を購入という感じで当初の配分に戻す形でスイッチ、、これが一般的です。
個人的には市場心理抜きに期間をキチっと決めて機械的にスイッチするのが結果的に一番効率的かな~、とか思ってます。
が、、現実的には「いや、まだまだ下がるだろうから今購入は・・・」「まだまだ上がりそうだから、今売却は・・・」という心理が働いて中々難しいですけどね。
「スイッチを多用すればリスク軽減、リターン狙える、、これは幻想」
まとめると、こうですね。
■ハイリスクは避けるべき??
「え~っと、夢も希望もないんだけど、、ハイリスク系は投資すべきではない?」
こう仰られる方が出てきても不思議ではないかもですね。
結論を書くと、ちょっと違います。
「主軸はミドルリスクだとして、一部をハイリスクに割合を振る分には普通にアリ」
と自分は考えています。
これは人それぞれですが、全体の1-2割程度は大きくリスクをとってこの部分は「この市場に賭けるぜ!」という感じで長期間放置、とかしてしまってもいいのではないかな、と。
この程度の割合であれば、万が一外したとしても全体的には大きなダメージにはなりませんし、ね。
ちなみに、最初の方にも書いていますが、リスクを承知でハイリスクに多く割合を割く分には全然アリだと思います。
えぇ、、人様には「リスクが、リスクが~」なんて言っていますが、自分のポートフォリオなんぞ、、、「あんた、何考えてるの??」状態ですから笑
■主軸の選び方??
よく聞かれるのが、主軸にするのは何がいい?という話です。
教科書的に言えば、先進国株式(人によっては債権)になります。
具体的には、現状においてはこの先進国株式となると「米国中心」になるでしょう。
※世界株式インデックスと米国株式インデックスの相関性は0.8以上
よくわからなければ、教科書的に先進国株式を主軸に、で間違いではないです。
が、これが実は正解か否か?というのは、将来にしかわかりません。
もしかしたら15年後には米国は大きく落ちぶれて、インドが世界の中心で回っている、、なんて事もある「かも」しれません。
意外にもロシアが経済の中心に、という未来だって実はあるの「かも」しれません。
こればかりは正解は分からないので、人によっては「将来的にインドが来る!!だからインド中心のポートフォリオを組む!!」という方も過去いましたし、「AHLは下手な株式市場よりよっぽどか歴史ある!AHL主軸というポートフォリオだってアリなんじゃないか!!」という事でAHL中心のポートフォリオを組んでいる人だって過去いました。
何が言いたいか?というと、こだわりがある場合においてはそれを主軸にしても何ら構わない、という事。
逆に、「このポートフォリオなら年15%確実~」とか言われて、投資市場に納得しないまま投資すると、後で非常に後悔しますよ、と。
■まとめ?
と、案外長くなってますね。
ここまで読まれた方、お疲れ様でした。
・・・相変わらずまとまりないですし。。箇条書きにまとめますと、こんな感じ。
・短期ならともかく、長期において年15%とか限りなく難しい。
・ミドルリスクの10年平均年利は7%くらい。
※よって、これ以上のリターンを求める場合はハイリスク中心にせざるを得ない
・市場の行方によってスイッチは非現実的
・これ!とポートフォリオを決めたらドンと構える
こんな感じでしょうかね。
あくまでもここで書いているのは「基礎的な内容」です。
基礎を普通に知った上で「敢えて」リスキーな配分にするとかは全然アリだと思います。
が、、、あまりにも基礎を知らないで甘い言葉に釣られて投資を~という方が多かったので、取り敢えず現実を知ってほしいという意味も込めてこんな記事を書いた次第です。
どうでもいいですが、リーマン後の株式好調時に夢みたいな事いっていた業者さんとかFPの方、今息してるんですかね??
以下のフォームをご利用下さいませ。
1人でも多くの方が「おぉ!参考になったよ!」と思って頂ければ幸いです。
では。