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実際の相談例 第五回

前回の最後に出たファンドの話から、色んなファンドの戦略別の話など。。最後に幾つかのファンドの運用実績なんかも少し。


担当者

M氏からご紹介のファンド、なかなかいいですね。
ただし、OCCOファンドは、エマージング諸国への投資ではありますが、純粋な意味でのエマージング投資とは性格が異なります。
Fact Sheetにこう書かれています。
「The objective of the Fund is to maximise absolute returns by investing both long and short in Emerging European and Russian Securities.」
「ファンドの目標は、エマージングヨーロッパとロシアの株式で買いポジションと売りポジションの両方に投資し、絶対的なリターンを最大にすることです。」


担当者

longは買いポジション、shortは売りポジションです。
市場の中で、よりあがるであろうと思われる銘柄を購入し、下がるかまたは、伸びが少ないと思われる銘柄を信用取引による売りポジションを建てます(空売りとも言う)。
市場全体が下がっても、単純な株式保有と違い、売りたてた銘柄が下がることによって利益を生むので、(買いたてた銘柄が下がっても)ヘッジがかかっています。
ということで、このファンドはれっきとしたヘッジファンドです。(株式Long-Short戦略型といいます。戦略はラテンアメリカファンドのほうも同じですね)

たくみ

ロング・ショート戦略の現状といえば、ショート戦略自体が利益制限、損失無限大という性質より、どうしてもロング割合が大きくなります。ショート戦略に過大な期待はしないのが吉。

相談者

初回面談時に伺いました。そうなんです。ヘッジファンドなところがいいなと。

担当者

なるほど、ヘッジファンドなところがいいなということですね。
たしかに、10万ドルのファンドで、エマージングに買い一本やりでは怖いですね。


担当者

次に、この2種類のミニマム(最低投資額)をみると、ヨーロッパがUSD10万、ラテンアメリカがEUR25万です。
両方足すと、約4000万円ぐらいになりますので、両方入れるのはいかがなものかと思います。
ただし、M氏が別のミニマムを提示しているのなら話は別です。(5万ドルからいけるよとか、、、、)
その辺、何か提示ありましたか?

相談者

ラテンアメリカモノは閉じたとのことです。東ヨーロッパはまだOKだそうです。
PPB経由なら最低投資額云々はある程度操作が可能なのでは?違うのですか?


担当者

ええと、PPB経由なら、ミニマムは下がることが多いですねえ。
ただ、FactSheetとウェブサイトをざっと見たところでは、信託名義の場合のミニマムがどうなるかについて触れられていませんので、どれくらい下がるのかはわかりません。
でも、2~3万、悪くても5万までは下がるかな?
ただ、数字だけを見ると、本当にいいファンドだなあと思うんですね。


担当者

上記のように、エマージングではありますが、根本のところで、long-shortのヘッジファンドなので、同じ戦略を2つ選択をする前に、いろんな戦略に分散する方が面白いです。

なお、私見ですが、ラテンアメリカファンドは実績が一年ぐらいなので、まだ良くわからんところがなきにしもあらず、かつ、ミニマムが3000万近いよと、、、、、
ちょいと二の足踏みますね。いくらヘッジといえど、一発で3000万近く突っ込むのは根性要りますぜ。

今までの平均リターン18.25%/年、年率標準偏差7.38%!!
これはかなりのヤツを出してきましたなあという感じです。
数字だけを見ると非常にいいファンドです。
リターンが高く、リスクが小さいだけじゃなく、各種指標との相関もどれをとってみても低めです。
フラッグシップとして使えるパフォーマンスではあります。
ミニマムが10万ドルなので、一般受けしないですが、相談者さんの場合、十分候補になりうるものと思います。(さすがM氏!いい玉持ってます。)
正直、自分も欲しいですね。(今余剰資金は、外貨で6万ぐらいしかないんで届きません、、、、、(泣))


担当者

RICIについては、元本保証がついていないだけで、購入可能と思いますよ。
ただ、もうちょっと待てば、元本保証タイプがでるかもしれません。
M氏に情報聞くのもありでしょう。(ただ、今はやたらと忙しいみたいです。)

相談者

commodityものとしてはこれあたりかなと。


担当者

はい、これは、いいと思います。
市場相関性のあるものなので、下がるときは下がりますが、インフレヘッジの手段として有効です。
株式との組み合わせが有効ですね。


担当者

ぐたぐた書き込みましたが、要は、戦略や投資先の分散が必要というわけですね。
ちょっと整理のために、いくつかつまんでみましょう。

ファンド・オブ・ヘッジファンズ(FoF)
inifinitiMomentum,Growth,Security,Matrix10,Forsithなど

相談者

FoF、いろいろなヘッジファンドに投資するやつですね。


担当者

はい、その中でも特にたくさんの戦略に投資するものという意味で絞りました。


担当者

マネージドフューチャーズ
Man ADP他、Super Fund、Noble ESA(Winston) AMT CFL、 AMT IQS

相談者

先物取引系ですね。


担当者

実は、この分野もFoFといえるものが含まれています。
たくさんのCTAを集めたファンドというのがあります。
ただ、どうしても、CTAだけを集めても、動きが同じようになる傾向があるので、あえて、マネージドフューチャーズと考えることにしています。


担当者

エマージングロングショート
FMG Rising3,Charlemagne Capital OCCO East Eur.

相談者

エマージング市場系投資モノですね。FMGは入れたいかなと(5%以内くらい)


担当者

FMGのらいじんぐ3は自分も持っていますが、とんでもないパフォーマンスです。ただ、暴れ方もなかなかですが。
持ってて面白いですが、主軸を決めた後で考えればいいでしょう。
他にも、FMGはいろいろ面白いファンドがあります。
らいじんぐ3は中国、ロシア、インドの3つの投資するファンドを組み合わせたものです。
ですんで、元ネタファンドもあるんです。


担当者

イベントドリブン
FMG Special Opportunity Funds、Porton Capital Science&Innovation Fund(基本は軍事産業もので、25%がIPO関連)

相談者

科学技術モノ少し入れたかったので・・・バイオ系も混ぜたいかも。再生医療関係に投資しているものがあればよいのですが。(趣味です。量子計算機なんてのも・・・)


担当者

ええと、ここら辺はちょいと毛色の変わったあたりです。
あと、バイオ系ですと、FMG Bio Med、INVESCO GT Healthcare Fund なんてのもあります。
ただ、製薬会社への配分が多いみたいですね。
相談者さんは、この辺はお詳しいでしょうから、いろいろ突っ込んで研究されるのも面白いのではないでしょうか。
(これというのあったら教えてください。自分もついていくかも(笑))


担当者

inifinitiの、Momentum,Growth,Securityについては募集終了が明らかになっていますが、Matrix10は現在確認中です。
また、バークレイズの元本保証がついたFoundation Note 138というのがあり、購入可能と思います。
他にもあると思いますが、ここら辺がヘッジファンド関連になります。
どちらかというと、マネージドフーチャーズ関連のファンドが多いです。マネージドフューチャーズ系はリターンが大きいものが多いですが、その分リスクも大きいです。中には、上げ下げの激しいジェットコースターファンドもあります。(Super FundやAMT IQS)


担当者

ここら辺が、ぱっと見、目に付くヘッジファンドです。
同じ戦略のファンド同士は相関が高いことがあるので、組み合わせる時は、慎重に相関を確認する必要があります。
ヘッジファンドの特徴は、株式や債券などの大きな金融市場との相関が低いことと、絶対利益追求の姿勢にあります。株式市場が下落しているときも利益を上げ続けるように運用します。
伝統的な株式ファンドですと、有望な銘柄をチョイスして保有することで利益を上げようという考えですから、市場全体が下落しているときはなすすべも無く下落します。
しかし、好景気など市場の上昇期には、ヘッジファンドよりも、市場相関性のある株式ファンドのほうがどっかん上昇することもあります。

では、ヘッジファンド以外をつまんでみましょう


担当者

株式
Hansard FPIなどにラインナップされている株式ファンド(いっぱいあるんで、略)


担当者

商品
RICI

相談者

RICI資料を見ると株式との逆相関を強調してますね。


担当者

完全に逆相関というといいすぎでしょうが、株式市場との相関はほとんどありません。
長期的視点では、株式も、商品も経済の拡大とともに上昇しますから、組み合わせで入れるのも面白いです。


担当者

不動産
LM-Mortgage、Glanmore


担当者

債券
AMEX Emerging Market Debt(Hansard MC67) ,Investec Global High Income Bond(Hansard MC34)など

だいたい、こんな感じです。
株式は、さらにセクター別、地域別に細分されます。


担当者

伝統的には、株式と債券が中心でした。
おのおのの相関が逆相関になるので、組合せとしても使いやすい組み合わせです。
不動産関係は、株や債券など他の資産とは非常に相関が低いです。
最近は、商品市場に注目が集まっており、NobleのRICIはかなりの資金を集めているようです。
商品市場も株式市場と相関が低く、また、エネルギーや鉱物などの資源を中心に高騰が続いており、好調です。

これらの大きな分類を意識しながら、ファンドを選んでいくわけです。


担当者

自分の場合、まず、安定なリターンが見込みやすいファンド・オブ・ヘッジファンズを中心として安定高リターンものはないか探します。
そういう意味で、infinitiはなかなかおいしいのですが、どうなるかわかりません。

相談者

ヘッジファンドインデックスはおとなしめ、とたくみ様はたびたび強調してました。そのあたりを機軸にして・・・ということですね。


担当者

ええ、何かフラッグシップになりそうなものを機軸に置かないと、なかなか進みませんョ。
ターゲットである4億円を目指す組み合わせは無限に近くあるので、ある程度どこかから決めていかないと訳わかんないのも事実です。

たくみ

世間的なイメージではヘッジファンド=グローバルマクロ、トレンドフォロワーあたりをピック、非常にリスキーに思われている方多いですが、MSCI Hedge Funds Index等インデックスの数字は、イメージとは違い、9-10%平均で標準偏差が4-5%です。はい、当然株式インデックスのがブレますね。

担当者

次に、ロングショートのなかでおとなしそうなヤツですが、これは、OCCOのEast Eur.がなかなか有望です。

マネージドフュチャーズはリターンが大きいので、夢を見ますが、リスクもでかいので、それほど大きい配分は避けるほうが懸命でしょう。どっちかというと少なめの配分がいいのでは無いでしょうか。

相談者

了解です。


担当者

あとは、株式、商品の組み合わせを選ぶというところ。ただ、株式は、いろんなファンドがあるので、一番迷うところでもありますが、グローバルに広い範囲で投資するおとなし目にいくらか配分するというのもありです。

相談者

その辺の配分がどうも・・


担当者

逆に、ここら辺を少量にして、気になるセクターや、地域などへの一点投資という考えもあります。
株式系は落ちるときはあれよあれよと落ちますんで、ご自身にかなりの思い入れが無いと保持できません。
たとえば、ブラジルが好きだとか、ヨーロッパがいいとか、目先落ちても絶対上がるよなんていう気持ちが無いと、しんどいのも事実。

もしそこまでの思い入れがもてないということなら、面白いものがあります。
AIITが出しているSP500連動型・元本保証ファンドです。
これは、米国の代表的な株式指標であるStandard & Poors 500指数に連動するような設定で、なおかつ元本保証付きというものです。

ただ、ヘッジファンドと違って、絶対的利益の追求型ではありません。景気がいいときはヘッジファンドより勢い良く上がりますが、景気が悪くなったりすると、これまた気持ちよく下がります。

配分がどうも、、、、ということなら、ここを考えない、or、RICIのみ、または、RICIとSP500などという考えもありです。


担当者

債券は、今の段階であえて選ぶ必要は無いかもしれません。
ただし、将来、資産が大きくなったときに非常に安定な資産として考えるということになると思います。

相談者

わかりました。


担当者

もちろん、債券系の中にも、ちょいと面白いものはあります。


担当者

American Express Funds Emerging Market Debt (Hansard MC67) リターン14.1%/年、標準偏差12.9%/年
ちょっと暴れ目ですが、他との相関が低いので、面白いです。


担当者

Investec Global High Income Bond (Hansard MC34) リターン12.35%/年、標準偏差9.1%/年
さっきのより少しおとなしいです。


担当者

いずれも、上記2つは、債券物の中でもリターンを追求したファンドです。
自分は、今はHansardのCapital Builderで株式系を主体にしていますが、景気が悪くなってきたら、この辺のヤツにスイッチしようかなとか考えています。


担当者

不動産系は鉄板ばっかりなので、全体の安定剤としていくらかの比率で混ぜておきたいところです。ただ、これは安定度が高いので、他との相関をあまり気にする必要がありません。
全体のリターンとリスクを調整する機能を持たせたいところです。

まずは、フラッグシップとなるファンドをひとつ二つ決めて行きたいですね。
それを機軸に、他を固めていくのがよさそうです。

相談者

なるほど、わかりました。
ぽんぽん進むのがうれしいです。ついていくのも大変ですが、そうしないといつまでたっても・・・
よろしくおねがいします。


担当者

進み方が早すぎるようなら、何度でも、戻りながらやりましょう。
何よりも、投資は自分の納得が一番大事です。
たとえば、自分の場合、同じエマージングでも、ラテンアメリカと東欧、インドには投資しますが、中国の配分は少ないです。
理由は、「中国があまり好きじゃない」とかなりいい加減ですが、数字だけ見て、すきでもないところに投資する気はありません。
こんな、論理性の無い気持ちであっても、大事にしていきたいですね。


担当者

そうでないと、そこが下がったときに「やめときゃよかった」という気持ちがわくんですね。
しかし、ある程度納得しての投資なら、「まあ、こういうこともあるさ」という感じで見ていられます。
本当は、長期投資であればあるほど、きちんと分散さえしておけば、トータルは上がっていきますから、心配無用なんですが、やはり、1年、2年とうまくいかないと不安になります。


担当者

ただ、今回のポートフォリオ診断の基礎は数字であることは違いありません。
(数字を追いかけて、追いかけて、そして、行き着いた先に数字ではないところがあるという感じでしょうか)


担当者

いくつかのファンドに関するデータを少しお示しします。


M氏提示のファンドOCCO East Eur.

Charlemagne Capital OCCO Eastern European Fund 
年リターン 18.253% 年率標準偏差 7.381%
リスクフリーレートを4.5%としたときのシャープレシオ1.91

まず価格推移

大きな下げ局面も無く、順調です。


担当者

各種指標との相関

どの指標に対しても、0.4以下と360度タイプです。


担当者

次にinifiniti Matrix10

Infinity Capital Proprietary Matrix 10 - Panacea Sub Trust
年リターン14.293%  年率標準偏差 5.116% 2.236
リスクフリーレートを4.5%としたときのシャープレシオ1.94
リターンはOCCO East Eur.より低いですが、リスクも小さいです。

昨年前半から若干パフォーマンスが落ちていますが、安定度は抜群です


担当者

昨年前半から若干パフォーマンスが落ちていますが、安定度は抜群です

各種指標との相関をみても、OCCO同様、360度全方位タイプです。

この2つは、お互いの相関も0.54で、中程度か、低い方といってもいいでしょう。


担当者

ちょいと雑談めいた話になっちゃいましたが、次回は、仮にいくつかつまんで、ポートフォリオを組んでみましょうか。


かなりポンポンと話が進んでいますが、あくまでも抜粋でこの他にも色んなやりとりがあります。

相談者の方も海外投資などに詳しい方なので、余計に話が早いですが分からない事は徐々に説明しながら進みますのでご安心を。